廃炉にむけて 一歩、一歩

らら・カフェ 2018夏号(第43号)/ 2018年6 月

福島第一原発の歩み

 2011年3月に起きた東日本大震災から今年で7年が過ぎた。あの日、東京電力福島第一原発を襲った高さ15メートルの津波は、 原子炉建屋の電源を喪失させ、水素爆発という前代未聞の大事故につながった。
 以来、福島第一原発では、最大で1日7000人、現在でも5000人の人々が廃炉にむけて働いている。 350万平方メートルという広大な敷地の福島第一原発。 この先40年と言われている廃炉作業は、さまざまな課題を含みながらどこまで進んでいるのか――使用済核燃料やデブリの回収、汚染水対策、がれきの処理など、7年前の事故当時からは大きく様がわりした〝福島第一原発の今〟を伝えたいと、昨年に続いて2度目の福島第一原発を取材した。


 福島第一原発内の大型休憩所7階から海側を見渡すと、数えきれない数のタンクが目にとまる。 現在、タンクの大半はトリチウム以外の放射性物質が除去された処理水が入っている。 タンクで保管されている水はおよそ100万トン。 設置されているタンクはほぼ900基。 事故直後は山側から流れて原子炉建屋に入り込んだ地下水はおよそ1日約400トン。それが新たな汚染水となってタンクの増設につながってきた。 地下水対策として行ってきたサブドレン(井戸)の増設や凍土遮水壁の設置等により、現在は1日約100トンまで地下水の流入を抑えている。さらに、地下水の流入対策と共に、タンクからの水漏れ防止対策や陸側・海側遮水壁を設置したことで、海水の放射性物質の濃度もかなり下がってきている。今後の課題としては、タンク内の処理水の行方について早急な判断が待たれている。


 一歩ずつ…変わる廃炉現場

 重大事故から7年、福島第一原発構内では多くの協力企業と、そこで働く人々により廃炉作業が進められている。現在はがれきの撤去や構内除染など、作業環境の整備も進み、いよいよ原子炉建屋内に残された使用済核燃料やデブリの取り出しに向けた準備、技術開発など、一歩ずつではあるが着実に前に進んでいるように見える。

 

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